「アーティスト」Civilian Skunk(シベリアン スカンク)

|目指せる学校タグ|#音楽を学べる

沖縄の高校生バンドの頂点に君臨し、数々の大会やオーディションを総なめにしてきた我らがシベスカ。高校も卒業し、いよいよプロのミュージシャンとして活動し始めた彼らは、着実に力を付け、全国の、そして世界のミュージックシーンに旋風を巻き起こそうとしている。メジャーデビューも決まり、今、ノリにのっているシベスカ4人にインタビューを行い、音楽のこと、仲間のこと、そしてこれからのことについて話を聞いた。

Interview

沖縄の中高生バンドの中で頂点に君臨し、追いかけられる存在でもあったCivilianSkunk。長年の夢であったメジャーデビューを果たし、プロとして今度はさらに大きなミュージックシーンへの挑戦を始めている。シベスカの原点とは?そして、支えてくれる家族や仲間への思いは? メンバーたちに話を聞いた。

カスタネットからボーカルへ。そしてまさかのメジャーデビュー(by チカラ)

中学高校時代の同級生4人組で結成し、あれよあれよと言う間にメジャーシーンに躍り出たCivilian Skunk(以後シベスカ)。最初は小学校6年生の時にジュンタがマーサーをバンドに誘い、中学校に入ってからユウイチとチカラが加わって今のメンバーが揃った。なので、メンバー全員が今春高校を卒業したばかりの若いバンドではあるが、出会ってから今日までの月日は結構長い。ここにいたるまでには悲喜こもごも色々な出来事があったに違いないと話を聞いた。まずは、リーダーのジュンタ。小学生の時に吹奏楽部でチューバを担当するかたわら、おじさんからもらったギターでロックを始め、吹奏楽部引退と同時にマーサーを誘ってバンドをスタートさせる。中学校に入って、現在の形となるが、始めはみんな遊び程度にしか考えていなかったという。しかしそれでも、ユウイチが「中学生の時からずっとメジャーデビューしてやるって言っていた」と話すように、このメンバーでバンドとして活躍していきたいという思いは全員がどこかに持っていたようである。そして、ボーカルのチカラ。彼は、自分からバンドのメンバーに志願し加入した。今でこそシベスカのボーカルを取り、中心となって活躍するチカラだが、始めのころはジュンタとそんなに親しくなかったそうで、加入当時はリーダーに命じられてパーカッションを担当していたとのこと。(しかもカスタネット)そんな風に、なんとなく始まったバンド活動は、高校に進学しても続けられ、オリジナル曲を手掛けるようになってからは、本格的にプロを目指したいという思いが全員の中に芽生えていった。そして、いよいよ全員が部活を辞め、バンド漬けの生活が始まる。家族も協力的で、ジュンタの家にはシベスカ専用スタジオも登場。ジュンタのおじいさんが大工さんだったこともあって、家のベランダ部分に壁や屋根をつけて、家族総出でスタジオを作ってくれた。「防音対策用に壁に埋め込むアスファルトやコンクリートのタンクローリーまで来て、結構本格的でした。僕らの家がある豊見城市や糸満市にはスタジオがないので、那覇まで行くのも大変だからって。今考えると本当に感謝感謝です」とメンバーたち。また、彼らが通っていた豊見城南高校の前面バックアップもあって、学校のイベントで歌わせてくれたり、昼休みに校庭で演奏することを提案してくれたりと、学校内での認知度もアップしていった。とくに、当時の教頭先生がすごく応援してくれていて、「ライブにも来てくれたり、豊見城南高校じゃなかったら今のシベスカはなかったかも」とマーサー。家族や学校に支えられ、高校生王者への階段を上り詰めていくことになる。「当時はただ楽しくやっていただけだったけど、今思うと本当にたくさんの人に応援してもらってたんだなって。高校の時は『まだ続けてるの?』くらいだった友達も『おまえらスゲーな。デビューするんだって?』って驚いているみたいです。ま、俺が一番驚いていますけどね」とチカラ。あどけない照れ笑いが印象的であった。

裏方の大変さを学んだFOM。感謝の気持ちを大切にしたい

シベスカといえば、関わりが深いのがなんと言っても『Fighting of Music』(以後FOM)で、中学3年の時に初めてコンテストに参加し、高校1年2年の時には実行委員としても関わった。とくにジュンタは2期連続で実行委員長としての大役も果たしている。「FOMはやってて良かった」と話すメンバーたち。「たくさんのバンドとも出会えたし、FOMで裏方を経験できたのは本当によかったと思います。メンバーみんなそうなんですけど、感謝の気持ちとか、すごいあると思います。スタッフの大変さが分かるんで、そこを分かって、だからこそ一生懸命やるということを学びました。最近は僕たちのために動いてくれている人もどんどん増えてきているので、その人たちのためにも頑張らないといけないなと思っています。」また、「今考えると、バンドも実行委員会ももっと頑張れたんじゃないかなぁという気はしますね。そんなに難しいことをやってたわけじゃなかったんです。でも高校生には難しかったんでしょうね(ジュンタ)」と大人な発言。実は2年前の本誌でも、FOMの実行委員長としてインタビューに答えてくれているのだが、その頃に比べると格段に成長した様子が伝わってきた。

自分たちも2年前まで実行委員として関わり、グランプリも獲得したFOMで凱旋ライブ。「中学生や高校生が頑張っているのを見て、改めて刺激をもらった。追いつかれないように頑張りたいです」

歌う場所は関係ない。いつも全力でやるのみ

最近は県外での活動も増えてきたシベスカ。とくに都市部に行くことが多く刺激的な日々をすごしているとのこと。「人が多いし、車は速いし、ビルも高いし、ビックリすることだらけ。コンビニ行った時に、沖縄にはないプリンがあったり、おにぎりのポークたまごがないことに驚いた(ユウイチ)」と微笑ましいエピソード。見るもの聞くものすべてが新鮮で楽しい日々を過ごしていると話してくれた。また、仕事の面でも、「県外に行くと、たくさんの人に出会えて、一緒にお仕事させてもらって、頑張ろうって思いますね」とマーサー。「ライブも、アウェー感とかは全然なくて、むしろそこに挑戦してやろうって気持ちがあるし、頑張ったら頑張っただけ返ってくるのがうれしい。初めてのところでライブやって、手応えを感じて、いけるなって思いました。またちょっと自信がついた感じです。充実しています!」そして、2012年3月には海外初となる台湾でのライブイベント『ONLY ROCK @ THE WALL台北』にも参加した。「すごく楽しかった」と話すチカラ。「言葉が通じなくても音楽は通じることが分かった。自分たちがもっとスキルアップすれば、ここもフィールドになるんだと思いました」

お客さん総立ちのパワフルなステージ。メジャーデビュー曲も披露され、所狭しとステージを駆け回るメンバーたちに、会場の盛り上がりは最高潮!ライブ後は会場出口でお客さんひとりひとりに挨拶しているメンバーの姿が印象的だった

お互いの個性を尊重し「任せる」という成長

小学校や中学校から同じメンバーで過ごし、多感な時期を共にしてきた仲間たち。昔は喧嘩もしょっちゅうだったそうで、「もう辞めてやる!」と思ったこともあるとか。しかし、最近は「それぞれメンバーのことを認め合えている感じがします(ジュンタ)」。「ジュンタの真面目さがメンバーをまとめてくれていると思う。昔はよく喧嘩したけどね(マーサー)」と笑う。同じ夢は持っているが、それぞれ個性もバラバラで、考え方も違う4人。メンバーをまとめていくのは大変だったに違いないと思い、リーダーであるジュンタに聞くと「大変だったこともあったけど、バンドやってきて、みんな本当に成長して大人になってきたと思います」と、穏やかに話す。「楽曲の制作についても、無理はしないで、誰かに任せたり、自分でいけるって思ったら、自分に1回任せてくれって感じで、無理に全員の意見を取り入れようともせず、できる人がやる。いい意味で力が抜けている感じだと思います」と、「やり方がわかってきて、やりやすくなった」とバンドとしても成長してきていると話してくれた。そして、バンドのレベルアップのために、メンバー個々の努力ももちろん惜しまない。「ユウイチは本当に努力家なんです。ドラムでムチャ振りしても頑張ってひと一倍練習してくれるし、誰がOK出すとかじゃなくて、自分の納得がいくまでずっと練習してます(マーサー)」とメンバーを讃える。「曲を作るごとに分かってきたと言うか、メンバーがみんなまとまってきてますよね。グルーブも良くなってると思います」

夢は武道館で20歳ライブ 飛び上がれシベスカ!!

8月22日に発売されたメジャーデビューシングル『DRAGON BOY』には「下克上してやるぜ」という気持ちがこめられている。その言葉の通り、天に昇る龍のように力強く前向きな楽曲に仕上がった。TVアニメやバラエティー番組のエンディングテーマの他、各ラジオ局のパワーチューンに起用されるなど、全国でシベスカの歌を耳にする機会も多い。一気にスターダムに躍り出ようとしている彼らではあるが、本人たちはいたってマイペースで、「自分たちが一番びっくりしている」と笑う。そしてもちろん不安を感じる瞬間もあるが、「友達も家族も、今まで関わってきた人たちがすごく応援してくれているので頑張るっきゃないなと思ってる」と、周りの応援にこたえられるように、今は立ち止まらず走り続けたいと話す。今の目標はズバリ『20歳になったら武道館で成人式ライブをやること!』。「それぐらいの勢いっていうか目標を立てて、それを追いかけることによって自分たちも成長できるんじゃないかなって思っています。いつかは沖縄の大きな会場でもライブしたいですね。セルラースタジアムとか。そして、もっともっと色々な場所にも行って、全国で盛り上げていきたいです」と、この勢いに乗って、さらに飛躍したいという強い思いが伝わってきた。限界をきめないで、バンドとしてどこまでも邁進したいと話すシベスカメンバーたち。彼らにしかできないことを沖縄から世界へ発信していきたいと力強く語る。メジャーデビューは達成したが、実はまだスタートラインに立ったばかり。『DRAGONBOY』の歌詞の中にあるように、「無我夢中で 手を伸ばして高く遠くへ」羽ばたき続けていってほしい。

仲が良くてふざけ合ったりもするが、それぞれがお互いのポジションや個性を尊重しているのがよく分かるCivilian Skunkのメンバーたち。「大人になってもこのまま突っ走っていきたいです」

言葉に出して言えば叶う 壁を越える勇気を持とう

最後に、夢に向って頑張る高校生に向けてアドバイスを聞いた。
ユウイチ 「夢って努力も大切だと思いますが、もっと簡単なことがあって、声に出して言えば絶対叶うと思っています。大きな目標があったほうが頑張れるので、中学の卒業文集にもメジャーデビューするって書いてて、高校入ってからも友達にそう言っていたら、本当に叶いました。だから思ってるだけじゃなくて声に出して言う方が夢は叶うと思います」
マーサー 「強い思いでいることだと思います。そして夢が叶ってもそこはまたスタート地点だと思うので、いつまでもやる気を忘れずに頑張ることが大切です。お世話になっている人が、『プロというのは人に魅せることができる人達のこと』って教えてくれて自分たちもまだまだだなと思いました。僕は自分も楽しんで、みんなも楽しめる『プロ』になりたいと思っています。一緒に頑張りましょう」
チカラ「自分が本当にやりたいと思うことをやったほうがいいと思います。本当に自分がやりたいことしか本気になれないし、大きな夢を言ったら笑われるかもしれないけど、だったら笑われていこうじゃないかと。それを越えていける覚悟があるんだったら夢は絶対叶うと思います」
ジュンタ「夢がある人はその夢を一生懸命追いかけて欲しいと思います。厳しい現実もあるとは思うけど、そこで諦めないでほしいです。逆に夢がまだ見つかっていない人も色んなことにチャレンジしてみて欲しいです」

Catch the Dream夢実現インタビュー Civilian Skunk

Profile

Civilian Skunk(シベリアン スカンク)
2008年に中学校の同級生で結成し、今春高校を卒業したばかりの4人組ロックバンド。
早いうちからオリジナルで楽曲づくりを行い、ライブ活動も積極的に展開。
2010年にはアジア国際音楽祭musixのOkinawa Teens Live 2010や、浦添てだこ祭りで開催されるFighting Of Musicでグランプリを獲得するなど、その実力が認められるようになった。
2011年9月、1stアルバム「01」をインディーズレーベルから発表、2012年8月にはメジャーデビューシングル「DRAGON BOY」が発売され、今、ノリに乗ったロックバンドとして全国からも注目を集めている。

Vocal チカラ
どこか少年ぽさを残すボーカルでオーディエンスを魅了。
シベスカの「元気」担当。

Guitar ジュンタ
リーダー(雑用係)。
FOMの実行委員長も2年連続して務め上げたしっかり屋さん。

Bass マーサー
ムードメーカー。
チカラとともにMCを担当し、熱いパフォーマンスを繰り広げる。

Drum ユウイチ
マイペースな努力家。
口数は少ないが、内に秘めた情熱は人一倍熱い。

▶︎Civilian Skunk(シベリアン スカンク)さんに関連するキーワード

Catch the Dream 2012.10

関連記事

  1. 琉球イラストレーション 与儀勝之

  2. イメージ

    「アーティスト・モデル」Una

  3. イメージ

    沖縄三線シンガーソングライター・伊禮 俊一

  4. 靴磨き職人 仲程 秀之

    靴磨き職人 仲程 秀之

  5. イメージ

    「女子ラグビー選手」上運天 あかり

  6. イメージ

    「フルート演奏家」渡久地 圭