【首里高等学校】この学校だから学べたこと、 その集大成に向けて

沖縄の高校力 Dream INTERVIEW
首里高等学校 染織デザイン科

家族に自分ががんばってきたことをカタチにして見せることができた

第31回りゅうぎん紅型デザインコンテストで、20歳以下の出品者を対象とした未来枠において優秀賞を受賞した久志明日香さんは、沖縄伝統工芸を学べる首里高校染織デザイン科で染めを専攻している3年生だ。今回、受賞した作品に込められた想いや、これからの目標を聞いた。

自分が今できる精一杯を詰め込んだ『春秋桜』

里高校染織デザイン科では、染めを専攻している生徒がカリキュラムの一環として、例年同コンテストに出品している。出品するのはパネル作品で、3年生に進級後すぐに制作を始めるため、1・2年で学んできた技術が詰め込まれたものになる。制作期間が限られていたため、作業は連日夜遅くまで続いたという。だが、決して手を抜くことなく作り上げた作品が『春秋桜』だ。「色鮮やかな桜とコスモス、そしてユシリス蝶が優雅に舞う姿を描きました。幸せを運ぶ蝶と言い伝えのあるユシリス蝶、コロナ禍で不安な情勢が続く世界に安寧をと想いを込めています」。受賞の知らせを聞いたときはまさかの気持ちでいっぱいだった彼女。「なにかの魔法を使ってしまったのかもしれないって思いました」とお茶目な笑顔を見せてくれた。作品は沖縄県立博物館・美術館県民ギャラリーに展示され、その場に家族を招待した。作品作りを支えてくれた家族に優秀賞という目に見えるカタチで成果を見せることができたのがうれしかったという。「家で作業しているときなど、すごく応援してくれていたので、その応援に応えることができてよかったです」。

人生を変えたきっかけ、自分もだれかにそんな感動を与えたい

久志さんが中学生のころに訪れた首里高校の卒業制作展。そこで見た色鮮やかな紅型着物を見て、同校への進学を決意したのだという。そして今、彼女は自身の卒業制作に取り組んでいる。「卒業制作では着物を作るので、パネル作品だった『春秋桜』よりはるかに大変ですが、その分やりがいも感じています。紅型を学ぶきっかけになった卒業制作展。わたしもだれかの心を動かせたらなと思っています」。卒業後は一度紅型を離れ、なにか新しいことにチャレンジしていきたいと話す。「高校生活3年間、紅型という沖縄の伝統工芸を学べて、本当に楽しかった。ものづくりが大好きなので、またなにか新しい技法を習得して自分の好きなものを作りたいと思っています」。挑戦を続ける久志さん、次はどんな手法を使って自身を表現していくのか、楽しみだ。

紅型の特徴のひとつである「鮮やかさ」。全体の色のバランスを見ながら調色を行う。

息が止まるほどの細かな作業を繰り返し、少しずつ丁寧に染め上げていく。

沖縄の高校力 2023 首里高等学校 久志明日香さん

久志 明日香
Asuka Kushi
沖縄県立首里高等学校
染織デザイン科 3年。
第31回りゅうぎん紅型デザインコンテストにて、20歳以下の学生を対象とした未来枠で優秀賞受賞。
受賞作品「春秋桜」はA-18〜A-19 ページのEGGSに掲載。

※学年や実績など、内容は全て取材当時のものです。

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