画家・ファッションデザイナー・ASUKA

|目指せる学校タグ| #ファッション #美術

“好き”を突き詰めた先でつかんだ海外進出
1つずつ夢を叶え世界へと活動の場を広げる先輩からのメッセージ。

Interview

「思い立ったら即行動!」で画家兼ファッションデザイナーとして道を切り開いてきたASUKAさん。絵画も洋裁も独学でのスタートとはいえ、「好き」をどこまでも追求し、さまざまなことにチャレンジするなかで、2022年に念願の海外進出を実現する。アートなファッションデザイナーとして人々に元気を与え世界で活躍するASUKAさんの軌跡を辿る。

モノ作りに夢中になった幼少期とサッカーに打ち込んだ学生時代

― モノ作りに没頭した幼少期
那覇市で生まれた私は、両親と兄2人、妹の6人家族で暮らしていました。洋裁好きな母の影響から小学校低学年にはミシンを使い、人形の洋服を作ったりして遊んでいましたね。ガールスカウトにも所属していたので、クラフト作りやイベント時の衣装作りなどもし「将来はファッションデザイナーになりたい!」と憧れを抱いた時期もありました。

― ワールドカップに魅せられサッカー部へ
中学3年生のときに開催されたFIFAワールドカップに夢中になった私は、高校で女子サッカー部に入部。好きになったらとことんのめり込むタイプなので、その時期から私の人生はサッカー一色に変わります。卒業後もサッカー選手を目指し、大分県にあるスポーツ系の専門学校に進学しました。幼稚園教諭の勉強をしながら、サッカーに打ち込む日々がはじまりました。

― 人生初の挫折を経験
入部してみると、高校からサッカーを始めたのは私くらいで、周りとは技術面で大きな差を感じました。サッカー選手になるという思いは生半可なものではなかったので、辞めてからしばらくは燃え尽き症候群と化しメンタルはズタボロ。それでも専門学校で3年間学び、幼稚園教諭の免許を取得しました。けれど私自身、自由な環境が好きなので「教育」を主軸としている幼稚園で働くことがイメージできず、卒業後は福岡県に移り住み、靴屋の店員になりました。

南原点に立ち返り気づく1番好きなこと

― アパレル販売員での新たな気づき
靴屋で働くうちに、お客様がお祝いや新たな門出、旅立つ前など、節目に靴を購入する方が多いことに気がつきました。そのときに、ふと海外旅行もしたことがない人生を振り返り「このままでは何も体験することなく死ぬかもしれない(笑)」と、何とも言えぬ焦燥感に駆られたのです。

― 自分探しのため帰沖
原点に立ち返るために沖縄に戻った私は、デザイン業を営む兄の会社で働かせてもらいながら自分探しをはじめました。これまでの経験から、雇われる側ではなく、自由が効く自営業になりたい……とまでは考えられるのですが、何がしたいのか全くわかりません。それでも、「とりあえずやってみる」が私のモットーなので、ダンス教室や料理教室、ボイスレッスンなど、気になるものは手あたり次第挑戦しました。

― モノ作りが好きな気持ちを思い出す
そのなかで1番ピンときたのが、1年間通った夜間の洋裁学校でした。子どもの頃から洋裁や絵を描くことが好きだった気持ちを思い出すとともに、昔から個性的なファッションが好きで、買った洋服をプチリメイクしてオリジナル感を出して着ていた自分にとって、とてもしっくりくる大好きな作業だっだからです。

SNSとネットを利用し洋服販売を開始

― ネットショップでの販売を開始
洋裁学校を卒業する頃、友人からInstagramを教えてもらい、洋服やバック、アクセサリーなどオリジナルのハンドメイド品を紹介するように。ちょうどネットショップのBASEも開設された頃だったので、ネット販売も開始しました。また、友人の会社でハンドメイド作家のお店を出店することになり、私も急いでブランドを立ち上げて参画。1年くらいの期間でしたがお世話になりました。

― オリジナルブランドの立ち上げ
それから3年くらいはひたすら作品を作ってネットで販売するということを繰り返していたのですが、仕入れた洋服を裁断して製作する点やコンセプトが曖昧な点にモヤモヤが募り。一旦リセットをして、2017年にオリジナルブランド「ASKLAR(アスクラー)」を立ち上げました。

― オリジナル生地を製作
ASKLARのコンセプトは、色づかいが鮮やかで着る方が元気になる、ASKLARにしか描けないデザインを用いた洋服です。実はこの頃からスマホ1つで簡単にオリジナルデザインの生地を作成できるようになったことも、ASKLARにとって大きな進化でした。

世界で活躍するアーティストを目指し画家デビュー

― アトリエ&ギャラリーをオープン
オリジナル生地をデザインするうちに、「もっと広いキャンバスにも絵を描いてみたい」という思いが芽生え、画家活動を開始。そしてオリジナル生地での製作と販売も順調に進み1年経った頃、国際通りにある両親の持ちビルの一室を借りて、アトリエ&ギャラリー「WPY gallery」をオープンさせました。ここでは、ASKLARの商品とアート作品の展示販売のほか、私がセレクトした商品や県内で活動するアーティストさんたちの商品も販売していました。

― 画家として世界進出を決意
実は洋服作りをはじめたときに、「世界で活躍するアーティストになる」という目標を掲げたのですが、ファッションデザイナーとして活動するなかで、それがいかに狭き門であるかを痛感しました。その点、アートは海外公募やコンペなどたくさんのチャンスが得られます。ファッション業界しかり、実際に世界で活躍している方の多くが輝かしい経歴や実績を持ち、信頼を得ているという現実にも直面しました。その点、私は洋裁も絵画も独学です。ならば、これから信頼につながる実績を積み重ねていこうと思い、まずは画家として世界へのチャンスをつかむことができればと、SNSなどでも発信をするようになりました。

「ポップアップストア」の出店で全国各地を巡る

― 「ポップアップストア」に挑戦
時同じくして、世界中で新型コロナウイルス感染症が蔓延。残念ながらアトリエ&ギャラリーへの客足も途絶えてしまいました。しかし、百貨店など期間限定で開設される「ポップアップストア」にお声がけいただくことが増え、全国各地に足を運ぶようになったのです。

― お客様の声が製作の原動力に
「ポップアップストア」での接客はとても楽しく、行く先々でお客様の反応を直に見られることは作品作りの大きな励みになりました。「ASUKAさんの洋服を着ると元気が出る」「デザインがかわいいので大切な人にプレゼントしたい」など、お客様のポジティブな言葉はいつも私の原動力になっています。

― 実体験から生まれるインスピレーション
全国各地を回ってみておもしろかったのが、好みのデザインに地域性が表れることです。これは海外に行ったときにも感じるのですが、現地の街行く人々を眺めていると「こんなお洋服(デザイン)が好きそうだな」など、イメージが頭の中でたくさん生まれてきます。同様に、国内外問わずさまざまな場所に出向き、現地のアート展や美術館、ギャラリーなどに足を運んだり、人々と触れ合ったりするリアルな体験のなかで、作品のインスピレーションが湧くことが多いことにも気がつきました。そこで那覇にあるアトリエ&ギャラリーは一旦、閉め、創作活動以外はできるだけ外に出て行こうと決めました。

― 海外進出のチャンス到来
その後「ポップアップストア」や個展、ライブイベントなどで実績を積む傍らSNSでの投稿も続けていたところ、海外で行われる個展やグループ展の出展をサポートする会社から、海外出展のお声がけをいただきました。自分の履歴書に厚みを持たせたいと考えていた私には、願ってもないチャンスが到来したのです。

初の海外進出そして次なるステップへ

― ドバイでの出展成功
ドバイで開催された「World Art Dubai 2022」では、「光」と「生命の樹」をテーマに、ガジュマルの木と雲海をイメージして描いた作品を3点出展しました。すると3日目に、父娘で訪れた親子が、母親の誕生日プレゼントにしたいと、ガジュマルの木を16万円で購入してくださったのです! 50カ国、4000点ほどもある作品の中から私の絵を、それも贈り物として選んでいただけてものすごく嬉しかったです!!

― より具体的になった目標
初の海外進出を経験し、「世界で活躍するアーティストになる」から、「世界で絵画とオリジナルの洋服を売り、さまざまな国で活動するアーティストになりたい」へと、より具体的な目標を持つことができました。

― 今年10月にはパリのアートフェアに出展
ドバイから帰国した後の反響は驚くほど大きく、半年後には沖縄県立博物館・美術館にて絵画個展を開催したり、全国各地で絵画と洋服の展示会を開催させていただいたりもしました。そして今年は、10月にフランスで開催されるアートフェア「Salon Art Shopping Paris」に出展予定です。最近は芸人さんやアーティストさんにも洋服を着ていただけるなど、多くの方の目に留まる機会が増えています。私自身、決して上手にSNSを活用できているわけではありませんが、発信し続けたことが集客やチャンスにもつながっているのだと実感しています。

成功への道は努力と信念の積み重ね

― 失敗や挫折もすべてが未来の糧に
こうやって振り返っても「思い立ったら即行動」だけで突き進んできたわけですが、そのときは気づけなくても5年後、10年後の自分に役立つことがたくさんあったなと感じます。かつて私はサッカー選手になれず、大きな挫折を味わいました。当時は絶望的な気持ちで「これが何のためになるの?」と考えてしまうような出来事もありましたが、そんなつらく苦しい経験のお陰で、その後はどんなことがあっても乗り越えられる勇気に変わりました。今でも「あのとき頑張って良かったな」と心から思えます。どんな偉人だって、一発ストレートで成功を掴んでいる人などそういません。きっと何回も夢破れることがあったのだと思います。それでもあきらめず、自分を信じてコツコツと努力し続けることが大事だと私は実体験から学びました。

― 困難が訪れたときは自分を褒める!
日々、うまくいかないことはありますが、どんなときでも、とにかく自分を褒めるようにしています。作品ができたときなどは達成感と高揚感が相まって「自分天才やし!」と自画自賛(笑)。ポジティブな思考と言葉が元気をもたらすので、日頃から自分を褒めまくって生きています。

アイコンとなっているオリジナルのシャツと、今年の10月にパリの展覧会に出展する絵画作品。

― 夢は叶えるごとに自信に変わる!
将来の夢は絶えず100個くらいあります。「地平線を見る」「宇宙旅行に行きたい」など思いつきのように聞こえるかもしれませんが、1つクリアするごとに自信につながるので片っ端から叶えていくようにしています。「ドバイに行く」「絵を売る」も夢リストに掲げ実現したことの1つです。大きな夢としては、「世界で絵画とオリジナルの洋服を売り、さまざまな国で活動するアーティストになる」ですが、実はその夢には続きがあります。それは、世界を夢見るアーティストたちのサポートをすることです。沖縄には素敵なアーティストさんたちがたくさんいるので、みんなが世界で活躍できるように、イベントや展示会、販売など製作以外のことをサポートできる、そんな仕組み作りがしたいです。

― 常に学び、成長し続ける人生を楽しみたい
好きな言葉に、「知らないことを知ることは、曇った窓の曇りを取るようなこと」というものがあります。この言葉は友人から教わったのですが、聞いたとき、本当にその通りだなと共感しました。人は自分の知らないことを見聞きすることによって、それまでにはない価値観が生まれます。私も県外に出たり、海外に行ったりするなかで、文化の違いに驚くこともありました。けれどそれも含めて、たくさんの気づきと成長の機会が得られました。だからこれからも、どんどん世界に出て行き、知らなかった文化や環境、人との出会いによってもたらされる新たな価値観と成長を楽しんでいきたいです。高校生のみなさんも臆することなくチャレンジし学び続けるなかで、新たな発見と成長を楽しめるような人生になることを願っています。

GO TO SCHOO!! 2023 ASUKA(画家・ファッションデザイナー)

ASUKAさんの製作活動の様子。パッと目を引くきれいな色づかいと斬新なデザイン、エッジの効いた個性的なアイテムが人気を集める。 ASUKAさんのパートナーであり良きアドバイザーでもあるNFTクリエイターの石田 竜三さんと一緒に。

information

オリジナル・ブランド『ASKLAR(アスクラー)』のPOP UPイベントが、沖縄と東京で下記日程で開催される。
■沖縄
[日時]2023/8/11~8/13 11:00~19:00
場所]march lifestyle&green
〒902-0067 沖縄県那覇市安里82-1
Instagram :@march_okinawa
■東京
[日時]2023/8/1~8/31 11:00~20:00
[場所]愛と狂気のマーケット
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1-11-6
ラフォーレ原宿 0.5F
※8/1と8/31は営業時間が通常と異なりますのであらかじめご了承くださいませ。
 Instagram:@aitokyouki

Profile

ASUKA/画家兼ファッションデザイナー
アスカ
那覇市生まれ、沖縄県立小禄高等学校出身。学生時代はサッカー選手を目指し打ち込むが、夢半ばに挫折。その後、好きなこと、やりたいことを突き詰めるなかで、幼い頃に夢中になったモノ作りの楽しさを思い出す。ネットショップでハンドメイド品を販売するところからはじめ2017年には、オリジナルブランド「ASKLAR(アスクラー)」を立ち上げる。近年には画家として海外進出を果たし、アートとファッションデザイナーの二刀流で世界各国へ活躍の場を広げている。

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GO TO SCHOOL!! 2023.07

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