アーティスト ヤングオオハラ

沖縄銀行のCMタイアップで「HANBUN」が起用されるなど、いま、沖縄でもっとも熱いアーティスト、ヤングオオハラ。県内外での活躍の場も増え順風満帆かと思いきや、音楽と真っ向から向き合うが故に生まれる悔しさ、楽しさが混在していた。あらゆる可能性を秘めた彼らのアーティスト人生の始まり、そして、”いま”をがむしゃらに生きる姿に迫った。

Interview

高校在学時からバンド活動を行い、2016年より現メンバーでヤングオオハラを作り上げてきた彼ら。 県内CMのタイアップ楽曲に抜擢されるなど活動の場を広げているが、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。アーティストが故に悔しい思いをしたことも、うれしいと感じたこともある。包み隠さずオープンに話してくれた、ヤングオオハラの過去~現在〜未来とは‥‥‥?

子どもの頃から音楽に触れ、仲間とバンドを楽しむ日々

ハローユキトモ(ユキトモ)とミツキング(ミツキ)は地元が同じで、ヨウヘイギマ(ヨウヘイ)とは同級生。ノリバルカン(ノリ)だけー歳年下にはなるが、それぞれ、小学生や中学生の頃からギタ一を弾いたりして音楽が身近にあったため、この4人が音楽を通じて知り合うのはごく自然なことだった。「ノリとの出会いは少し後になるんですけど、ユキトモ、ミツキとは那覇市東町にある音楽スタジオ『studio HYBRID』でバンド練習をしていたのをきっかけに、2013年、高校1年生のときに知り合いました。別のドラム担当を含む4人でバンドを組んでいたんですけど、スタジオオーナーのISSAYさんに半ば強制的にオーディションヘの参加を促されて(笑)。そのオーディション参加をきっかけに、楽曲制作もし始めました(ヨウヘイ)」。

※左から、ミツキング=ミツキ、ハローユキトモ=ユキトモ、ヨウヘイギマ=ヨウヘイ、ノリバルカン=ノリ(コメント内はメンバー間での呼び名で記載)

オーディションへの参加が転機に。音楽と本気で向き合うことを覚えた

オーディションに出るたびに楽曲制作をしていた学生時代。当時のある出来事がバンド魂に火をつけ、現在のアー テイスト人生に繋がっている。ラジオ番組TOKYO FMの『SCHOOL OF LOCK!』らが主催するフェス、『閃光ライオット』への参加を懸けたオーディションを受けたときのことだった。「何万組もの応募があった書類審査を通過し、沖縄予選のスタジ才審査も合格。さらに、選考基準を満たした40組だけが参加できる福岡開催のセミファイナル・九州大会でも楽曲を披露したんですけど、ファイナルを前に落ちてしまって。それまでは、オーディションに本気で挑んでなかったのに、ファイナルに行けなかったのが悔しすぎて!もっとがんばって練習していれば、いい結果が残せたかもしれないって反省するほど悔しかったんです。このオーディションのときの悔しい想いが、いまもバンドを続けている理由になっています。ちゃんと真面目に練習して、音楽を極めようと思わされたオーディションでした(ヨウヘイ)」。

一つ年下のノリバルカンが加入し、現メンバーがスタジオに集結!

オーディションヘの参加をきっかけに音楽との向き合い方が変わり、本気度も高まっていったが、紆余曲折あり2015年8月、高校3年生のときバンド解散。しかし、卒業前の2016年1月にバンド活動を再開した。そこに合流したのが、親交のあった一つ年下のノリバルカンだった。「先輩と一緒にいるのが好きだったので、自分からいろんな先輩に声をかけては遊んだりしてました。そんな中、ヨウヘイさんたちにドラムしないかって、半ば強制的に誘われて(笑)。『ハイ』って言わざるを得ない状況でした。初めて一緒に練習した日とか、緊張しすぎて覚えてないぐらい。当時は、先輩と一緒にいることに緊張していました(ノリ)」。

バンド名を覚えてもらえず、ついにヤングオオハラが誕生!

現メンバー4人でスタートさせた音楽活動。最初は140758(イチヨンゼロナナゴーハチ)というバンド名で活動していたが、なかなか覚えてもらえず、ヤングオオハラに改名した。この、一度聞くと忘れないバンド名·ヤングオオハラ。実は、小禄や首里では言わずと知れた名前だった。「ヤングオオハラって、俺とミツキの地元・小禄にある『ヤングおおはら』ってスーパーの名前なんです。なんか、パンチが効いてるじゃないですか。響きが気に入っちゃって。そのまま使ってしまいました。後にお店の方に挨拶させてもらったんですけど、出演したラジオを聴いたりして応援してくださっていて。うれしいです(ユキトモ)」。

2018年8月25日に行われた『HYSCHOOL ZONE Vol.2@桜坂セントラル』でのワンシーン。この日、ライブのトリを飾ったヤングオオハラ。「もっともっとライブ会場をお客さんで埋め尽くしたい!」と熱い想いを歌に乗せてエネルギッシュなステージを披露した

枠にとらわれず自由に楽曲作り。全員で作り上げる渾身の一曲

ヤングオオハラとしての活動がスタートし、 2017年6月に1stシングル『新(あたら)』をリリース。音楽の方向性など、現在にいたるまでメンバー間でどのように楽曲を生み出してきたのだろうか。「ヤングオオハラは縛りなく楽曲を作ってて、音楽性や方向性を決めず、自由に作っています。一応、僕が曲のイメージなどを伝えたりして、全員でいろいろ試しながら形にして、作り上げています(ヨウヘイ)」。

県内CMタイアップが続いて決定。楽曲がさらに多くの人へ

これまでリリースした楽曲の中の一曲『HANBUN』は、沖縄銀行のおきぎん教育ローンのCMタイアップ曲にもなっている。ハローユキトモのソロパートに合わせて学校の教室で女子生徒が躍る印象的なCMで、引き込まれたところで一気に力強い音が鳴り轡く、力強さと躍動感ある楽曲に仕上がっている。また、音楽がコロコロと表情を変えるのも、楽曲の一つの魅力と言える。「『HANBUN』はバンドを組んですぐに作った曲で、曲先行で歌詞はユキトモ中心で書いた楽曲です(ヨウヘイ)」。「た<さんの人に聴いてもらえるのは、本当にうれしいです(ユキトモ)」。

県内外のライブが大幅に増加。と同時に感じる喜びと悔しさ‥‥‥

認知度が高まるにつれ、県内外でのライブ本数も増加。音楽ファンなら必ず行きたいと憧れる大型フェスにも参加し、ヤングオオハラの経験値は高くなっている。この貴重な経験を通して、いま、彼らは何を感じているのだろうか?「テレビの中にいるはずのアーティストの方が、目の前にいるのがすごいな~って。まだそんな感覚です(ノリ)」。「うれしい反面、複雑な思いもしています。北海道・RISING SUN ROCK FESTIVALや茨城県・ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018って、僕らはオーディ ション枠で出演しているので楽屋に入れなくて。出番が終わるとお客さんと同じ場所から他のアーティストさんのステージを見るんです。それが、ただただ悔しくて。だから、もっとがんばろう。上を目指してやろう!って気持ちにもなっています(ヨウヘイ)」。「とくに東京だと若い子も含めライブハウスに足を運んでくれるお客さんが多いんです。出演するバンドのステージをしっかり見てくれている気がして、気軽に音楽と関わっている感じがすごいなって。だからこそ、音楽の質も向上しているんだろうし。それが文化なんだなぁって感じたりすることがあります(ミッキ)」。「たくさんのアーテイストの人と一緒になることが増えて、他の出演者のステージを見て圧倒されることが多いです。とくに県外では、剌激も受けるし。たくさんのライブハウスがあって、ライブハウスごとのカラーがあったりして、そういうのを肌を持って感じたりします(ユキトモ)」。楽しいと思うことは思いっきり楽しむ。悔しいと思うことも、背を向けずにメンバーとともに乗り越える。いろんなことを経験し、焦らず一歩ずつ踏み出すのがヤングオオハラだ。

欲張らず自分たちにあった歩幅で音楽の質を向上させながら歩む

結成してから3年目。メンバー間の絆も深まるなか、ヤングオオハラが成したいこと、描いていることは、行き急がず、着実にバンドマンとしての階段を登っていくこと。近道を選んだりしない。「県外のライブハウスでステージを見てると、僕らより年齢も若いのに演奏が上手なバンドっているんですよね。『うまっ!』って思わず本音がでるバンド。負けてられないですよね。とはいえ、自分たちのペースで、上がり調子でいければいいなと思います(ヨウヘイ)」。「SUMMER SONICに出たいですね(ユキトモ)」。ライブなどを通して4人で経験を積み上げていくことで、『ャングオオハラの楽曲を一人でも多くの人に届けたい』という夢を実現させていっている。

大切な友達や仲間に支えられ、人としても成長していける環境

そんなときに支えになってくれるのは、音楽スタジオstudio HYBRIDのオーナーISSAYさんであり、スタジオ仲間のシシノオドシだったりもする。 「シシノオドシはライパルでもあり、友達で、悩み事があれば相談に乗ってくれる。ISSAYさんもメンバーもそうですけど、いろんな人に支えてもらっています。音楽を続ける上で、間違いなくHYBRIDにいられてよかったと思える。HYBRIDにいる時間が長すぎて、県外ライブに行くとHYBRIDに帰ってきたくてホームシックになりますからね(笑)。本当、最高の環境です(ユキトモ)」。

アーティストとしての歩みがカタチになる瞬間

11月21日には1stミニアルバム「YOUNG* BEATS」を発売する。ヤングオオハラとしてまた一つ、アーティストとしての人生をステップアップした。「6曲中3曲が新曲で、全国で発売されます。県内外でライブもあるので、たくさんの人に聴いてほしいです(ヨウヘイ)」。これまでに感じた喜びや悔しさ、支えられていることへの感謝、やりたい音楽を突き詰められる楽しさなど、すべての経験や成長がヤングオオハラの力になり、新たな楽曲を生み出す原動力になっていることは間違いない。

やりたいことに迷わず挑戦。失敗しても何度でもやり直せる!

年齢が近く、夢や希望を届けているヤングオオハラだからこそ響く言葉がある。そして、普段から音にメッセージを乗せている彼らだからこそ、シンプルな言葉でアドバイスをくれた。「高校卒業をきっかけに会えなくなる友達もいるけど、変わらずにずっと仲良くいられる友達もいるので、在学中に一人でも多く友達を作って、何でも相談できる仲間を作ってください。そうすれば、何でも乗り越えられると思います。夢が2つ以上あるときはよく見極めてください。欲張りすぎたり、無理をしてしまうと、どれも中途半端になってしまうことがあるので、今しかできないことに挑戦してください(ユキトモ)」。「何度失敗してもいい!失敗したからこそ気付けることもたくさんあると思います。なので、失敗を恐れず、地道に物事を積み重ねていってください。そして、若いうちにやりたいことにたくさん挑戦してください(ミツキ)」。「やりたいことを極める!自分が思う信念を曲げず、負けずにがんばってください。やるかやらないかは、自分次第。行動に移さなければ、そこで終わってしまいます。挑戦したいと思ったことには、恐れず飛び込んでいってください(ヨウヘイ)」。「自分の思ったことを貫き通すのも大切だけど、我が強すぎてもいけないと思います。先生からのアドバイスなど耳を傾けて、意思疎通を図りながら自分の意志を伝えられると、学校生活でもプラスになることが多くなると思います(ノリ)」と、ヤングオオハラらしいアドバイスが届いた。

ステージ上以外でマイクを握っていない&楽器を触っていないときは、さらにヤンチャさが増すヤングオオハラ。4人とも性格がバラバラで、飾らない人間性が魅力的。枠に捕われない音楽は彼らそのもので、包み隠さないオープンな楽曲が聞く人の心を掴んで離さない

Catch the Dream 2018 vol.13

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