「ダンサー、振り付け師、モデル」仲宗根梨乃

Interview

ブリトニー・スピアーズ、グウェン・ステファニー、アブリル・ラビーン、クリスティーナ・アギレラ、ミッシー・エリオットらとのライブステージやミュージックビデオ、CMなどでの共演。ジャネット・ジャクソンの振り付け補助、少女時代「GENIE」やSHINee、BoAらの振り付け。グウェン・ステファニー率いる原宿ガールズでの活躍、ダンスを魅せるクルー、Beat Freaksでの活動。仲宗根梨乃。彼女を表現する多彩な才能のもとは、「好きなことを続けてきた」それだけだという。

ダンサー、振付師としてアメリカ、韓国、グローバルに活躍

「ハイサイ!」と、陽気な挨拶から始まった仲宗根梨乃さん。「いつもハイサイ!の挨拶でうちなーアピールをしている」とウチナーンチュ丸出しで語る彼女の舞台は、主にアメリカと韓国だ。那覇商業高校国際経済科を卒業後、エンターテイナーを目指してアメリカへと旅立ち、夢を一歩一歩とつかんできた。そのプロフィールには、ジャネット・ジャクソンの振付師オーデョションの手伝い。ブリトニー・スピアーズ、グウェン・ステファニーなど、そうそうたるアーティストのツアーやミュージックビデオに出演など、活躍のすごさが見える。
K-pop人気の勢いがとどまらない韓国からは、振付師としてのオファーが舞い込んだ。講師として受け持つダンスレッスンの様子をyoutubeで見てもらえたのがきっかけだという。SHINeeの「replay」という曲から始まり、東方神起や少女時代、スーパージュニア、F(x)、BoAなどの振り付けも行っている。
また、11月に日本公開予定の映画『Go For It!』では、振り付けおよびダンサー役で出演。「演技はなし。監督さんの指示を受け素直にやりました。ただ、ダンスをしているときには、自然にいろんな感情を出しているもの。演技も基本はダンスと同じなんだなと感じた」という。

エンターテイナーになると子どもの頃から信じ続けていた

ダンスを軸に世界で活躍する梨乃さん、小さな頃から「ダンスが好きで好きでたまらない」子どもだったようだ。保育園のおゆうぎ会ではほかの子のパートまで覚えて踊り、街中を歩いているときに好きなアーティストの曲がかかると自然に体が動き出していたらしい。「大好きなマイケル・ジャクソンの曲が聞こえたりしたら、『きゃー!』って思わず叫んで、人目も気にせず踊り出していた」ほどだという。「しかみますよね。でも、体が動いてしまう」と笑う。「そんなだから、ダンスを自然に勉強してきた。そしていつの間にかプロになってしまいました」

チャレンジし続けることあきらめないことが大切

自分を信じても、そのスタートは決して楽ではなかったようだ。尊敬するダンサーはもちろん、ダンスのジャンルを問わず少しでも興味のあるダンサーがいれば、ワークショップやレッスンに積極的に参加。ミュージックビデオやCMなど、あらゆるオーディションも受けまくったという。「ジャンルや好みも全く関係なく、オーディションがあると聞けば、全て受けていた」と振り返る。「オーディションも勉強になるし、何よりいい経験になる。プレッシャーのなかでどこまでできるか、回を重ねるごとに自信もついていく」と、チャレンジし続けたことが財産になっていると語る。「経験をしないことには、自分自身に合うか合わないか、何が必要かが解らない。経験があれば自信もつき、目標も高まる」着実にステップを重ねた下積み時代のおかげで今の梨乃さんがあるようだ。
そうしたなかで、大きなステップアップとなったのが「憧れのジャネット・ジャクソンのオーディション」だ。「夢の機会!何が何でもやってやる!」と、ことさら力が入ったという。「でも、あまりの緊張のしすぎに大失敗をしたんですよ…。ジャネット本人を目の前にしてアピールをしなくちゃいけないところで、ダンスの振り付けが飛んでしまって…。けれど、最後にダンサー全員で踊るところでは、ちゃんとキメることができた。そんな私をジャネットは観てくれていたんだと思います」と、失敗談も清々しく語る梨乃さん。ジャネット・ジャクソンとの共演は、タイミングが合わないなどの理由で残念ながら実現していないものの、その後、アメリカ滞在のために必要なビザの手配ではファミリーのように手を尽くしてもらったり、振付師としてオーディションの手伝いをするまでになっている。「あのオーディションを受けたことが、今の自分の全てにつながっている気がする」と、振り返る。

表現することを考えて市場マーケットについても勉強

振付師としてもステータスを上げ続けている梨乃さん。そのレッスン内容やリハーサルに、ジャネット・ジャクソンとの経験を活かしているという。「ジャネットのリハーサルの厳しさは噂には聞いていましたが、これか!と思い知らされました。ペアを組み、ほかのダンサーの前で1曲踊らなければならず、かなり緊張しますが、この方式は、ペアと息を合わせながら動きを見て、ほかのダンサーをじっくり見ることでいろんなことを発見できることができる。細かな部分を直せる点がとてもいいんです。今の自分のリハーサルでも取り入れています」
韓国からの振付師としてのオファーに対しては、「光栄!ただ素直にうれしい」と喜ぶ。「グループの振り付けは初めてで、全員が目立つフォーメーションを表現したいと思った」と、イメージをふくらませたそうだ。そして「カンパニーの求めていること、韓国マーケットについてなども勉強しました」ダンスがどのように求められており、どう表現できるのか、視野を広げ、あらゆる角度からダンスを考えたという。
また、「沖縄」を意識した表現にも注目だ。グウェン・ステファニーの『serious(振り付け師:Sho Tyme)』では、日本のダンスを取り入れることをリクエストされ「少しだけ、カチャーシーを入れました!」と、うれしそう。映画『Go For It!』の振り付けでは、監督からの「マーシャルアーツ(武道、武術、空手)を取り入れて」という要望があったという。「武道が出来るアシスタントをつけたんですが、作っていくうちに琉球舞踊も取り入れたいなと思い、出来ないんですが、似た振りを自分なりにYoutubeを観ながら勉強し、少ぉ~しだけ入れました」

自分を支え、応援し合える友人と家族に感謝して

梨乃さんにとって、家族や大親友の存在はとても大きい。
大親友は、高校時代にできた二人のこと。「性格は全然違うけれど、ポジティブさが心地いい親友。ふたりから良いことを吸収させてもらえて、学ばさせてもらえた。互いをよくする関係は、絆を深めて、さらに伸び合おうとするプラスの相乗効果があると思う」という。互いのよいところを伸ばし合える友だちと、夢を応援しあえることが成功の秘訣のようだ。
家族への愛情も深い。高校卒業してアメリカへ旅立つというとき、母親は大反対したが言い出したら人の意見なんて聞かない、とあきらめていたようで、最終的には応援してくれたそう。また、「祖父母からは金銭的にも助けられた。学生でまだ働く事も出来ず、でも今アメリカに渡りたい、若さと言うのはその時にしかない、その時に出来る事と出来ない事はある。本当に当時自分の希望を実現させてくれた家族に感謝している」と、下積み時代を振り返る。
アメリカにも家族ができた。ダンスを通して知り合った、大事なパートナーだ。また、お互いに尊敬し合っているクルーのThe Beat Freaksや他の仕事で出来た友達。支え合い応援し合えるプラスな人間関係が、梨乃さんのパワーの源なのだと実感させてくれた。

まだまだ夢の途中叶えたい夢を追い続ける

パワー全開に突き進みながらも、夢はどんどんわいてくるのだと梨乃さん。「韓国で活動するにあたり、韓国語にも興味がでました。やっぱり言葉は文化でもあり,コミュニケーションの場も広がります」と、只今「韓国語も勉強中」とのこと。「でーじ年を取ったらアーティストの育成をしたい」と、ダンスを通し、まだまだやることがたくさん。
そして「自分のブランド、自分のファッション、コーヒーが大好きだからコーヒーショップもオープンしたい。犬も好き。うちの犬はペットショップではなく、いわゆる保健所からレスキューした犬。犬助けもしたいと思っているから、犬ボランティアもしたい。夢がでーじいっぱいなんですよ!はっさ、大変!」と大笑い。彼女のパワーは底知れずだ。

自分の声を信じてポジティブに進み続けてほしい

梨乃さんは「人生は一度だけ。高校生も、ポジティブに生きてほしい」と力を込めた。「悩んでいると、その悩みのエナジーが集まってしまいよくない。一人ひとり悩みはさまざまでどうアドバイスしていいかはわからない。けど、言えるのは悩みを乗り越えることは自分にしかできないこと。悪いことも、時が経てば後々はいいことに変化している。だから、チバリヨー! って自分自身に声をかけてほしい。与えられる試練は必ず乗り越えられるのだから。ポジティブになろう」
そして「心の声を信じろ!と、いいたい」とも。「親や先生、友だち、先輩、いろんな人からのアドバイスに多くのヒントがある。そのヒントを大事にしながら、自分の思いにもきちんと向き合ってほしい。でも、”自分の声”と言うのはそれよりも大切。例えば、もし自分がアメリカ行きを反対と言う家族の意見を聞いて、ずっと沖縄にいたら、今の自分はない。自分が尊敬していたアーティスト、振り付け師、ダンサー達と一緒に仕事を出来た事もなかっただろう。そして、夢を叶えると言う素晴らしさも経験できなかった。あと、沖縄を出た事により、自分がすごく成長したこと。視野も広がり、いろんな人間にも出会えた。刺激、才能のある人々の中に居るからこそ自分もレベルアップが出来る。そしてなにより、沖縄の素晴らしさを知った。自分を信じて進まなげれば、自分の人生のドアを押すことができない。大丈夫、道は拓ける。自分を信じて、行動に移せ!」

Profile

仲宗根梨乃◆ダンサー、振り付け師、モデル
1979年6月生まれ。沖縄県那覇市出身。アメリカロサンゼルス在住。
Go 2 talent agency所属。多くのアーティストとツアーやPV共演、映画出演。
振付師として名を知らしめたのは少女時代「GENIE」。
Beat Freaksのメンバーとしてダンスを楽しむほか、ワークショップなども開催。

GO TO SCHOOL 2011.10

関連記事

  1. 琉球イラストレーション 与儀勝之

  2. JJ(ジェイ・ジェイ)

    フリースタイルバスケットボール・パフォーマー JJ

  3. イメージ

    「リペアマン/ギター製作家 D.N.S -Draw a New Sound- 代表」村吉涼秀

  4. イラストレーター/アーティスト pokke104 池城由紀乃

    「イラストレーター/アーティスト」pokke104 池城由紀乃

  5. 映像クリエイター_青木 純

    「映像クリエイター」青木 純

  6. 「シンガーソングライター」Anly

    「シンガーソングライター」Anly