【中部農林⾼等学校】チームで開発したドラゴンフルーツの⻑期保存法でW受賞

沖縄の高校力 Dream INTERVIEW
中部農林⾼等学校(⾷品科学科)

左上:前當 叶希 食品科学科3年 右上:奥呂⽊ 響 食品科学科3年 左下:⽯川 実夢 食品科学科3年 下段中:阿波根 ⻘空 食品科学科3年 右下:伊波 ⼼陽 食品科学科3年

農家の抱える課題を冷凍技術と加⼯品で解決!

農家さんのリサーチから始まったプロジェクト

「農家さんが抱える課題を解決したい」その思いでドラゴンフルーツ農家を訪ねたところ、⻑期保存が難しく利益が出しづらいという課題が⾒えた。⾷品科学科の5名でプロジェクトチームを組み、保存⽅法について研究することにした。⽔分量の多いドラゴンフルーツを冷凍すると、解凍したときにドリップが出て⽢味も薄まってしまう。その問題を解決するため、カットしたものをフードドライヤーで乾燥させ、⽔分を抑えたあと冷凍するという技術(デハイドロフリージング)を活⽤した。しかし、この⽅法にたどり着くまではいくつもの失敗があったという。ドラゴンフルーツの幹であるサボテンの粘りを利⽤してコーティングすると、ヌルヌルして⾷べられる状態ではなかったり。⾷べやすいサイズにカットして乾燥させると、想定より⼩さくなってしまうこともあった。いろいろと試⾏錯誤した結果、ドラゴンフルーツの⽢味は増し、栄養分はそのままで冷凍することが可能となった。この画期的な内容を、2023年OISTの⾼校⽣プレゼン⼤会で発表したところ、『SCORE! サイエンス in 沖縄』の優勝チームに選ばれた。そして2024年2⽉の『第9回⾼校⽣国際シンポジウム』では、⽂部科学⼤⾂賞を受賞するという快挙を成し遂げた。今年7⽉にはシンガポールの⼤会へ出場予定で、英語での発表となるので語学の練習にも励んでいる。

農家の収益を上げSDGs的にも⽬標達成

保存⽅法の課題がクリアになった次は、ドラゴンフルーツの販売単価を上げ、農家さんの安定した収益につなげられるよう動いている。ドラゴンフルーツの⽪の部分は全体の37%を占めるが、そのままでは硬くて⾷べることができず廃棄されてきた。SDGsの観点からも⽪の部分を活⽤できないか考えていたところ、うるま市で野菜の加⼯品を製造しているお店の協⼒を得て、ピクルスの試作品ができあがった。ドラゴンフルーツの保存⽅法に加え、⽪の部分まで丸ごと活⽤できると、農家さんの増収にもつながるに違いない。今後、ピクルスなどの加⼯品はOEMで製造を委託することを考えている。また、開発した技術は中部農林⾼校で開放特許を取得して、申請があれば誰でも使える仕組みにする予定だという。農家や企業、地域のお店などたくさんの⼤⼈たちと出会って得た知識や経験は、とても貴重なものだと思う。卒業後は⼤学や留学、調理などそれぞれの道へと進む予定だ。プロジェクトを通して学んだことを⽣かし、沖縄から世界へ⽻ばたくことを願っている。

ピクルスにしたドラゴンフルーツ。冷凍や加工品で保存でき、農家さんも喜んでくれてとても嬉しい。

DFプロジェクトで協力しあい、いろいろな事を乗り越えてきた5人。そのチームワークは特別だ。

沖縄の高校力 2024 中部農林高校 食品科学科

※学年や実績など、内容は全て取材当時のものです。

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