沖縄の高校力 Dream INTERVIEW
●美来工科高等学校 電子工作部(マイコンカーラリー)
マイコンカーラリーの魅力と魂をこめたマシン製作
高校生が自動で走る自作車の速さを競うジャパンマイコンカーラリー。初出場にして沖縄県大会を勝ち上がり九州大会まで駒を進めた3人に、マイコンカーラリーの楽しさと魂が込められたマシン製作について話を聞いた。
突然決まったマイコンカーラリー出場
マイコンカーラリーとは、マイクロコンピュータ(マイコン)を搭載した自律型のロボット(模型自動車)が、コースの白線を読み取りながら自動運転によって走行し、2台並走しながらタイムを競う競技のこと。これまで、ジャパンマイコンカーラリー(主催・全国工業高校長協会)には出場したことのなかった3人は、顧問の山田弘人先生の勧めもあり、松堂さんはBasic Class部門に、上原さんと佐次田さんはCamera Class部門にエントリーすることを決める。それまで、ロボット競技大会のロボット相撲部門ラジコン型をメインに活動していた松堂さんは、マイコンカーラリー開催までの準備期間が短く不安があったものの、「Basic Class部門であればロボット相撲の技術やノウハウも活かせると思った」と、当時の心境を振り返る。
Basic Class部門は使用できる部品を制限した初心者向け部門。コースの白線をセンサで検知して走行する。※Camera Class部門は車体にカメラを搭載し、走行しながら撮影した映像をマイコンで解析し走行する。
目標は九州大会優勝、全国大会出場に向け再スタート
マイコンカー作りの工程は5段階あり、①設計 ②切削・3D出力 ③組み立て&はんだ付け ④プログラミング ⑤試走・改良 の①~⑤を繰り返し行い完成を目指す。中には0.5ミリほどの繊細な部品もあり「くしゃみでどこかに飛んでいっちゃって」と1人が口にすれば、「大会直前にマイコンカーを落として慌てて折れた部分を接着剤で付けたこともあったよね」と、口々に失敗談を漏らす場面も。また、試行錯誤を繰り返すうちに、「愛着が湧いてマイコンカーがペットみたいな感覚になって」と上原さん。佐次田さんも「昨日は走ったのに今日は走らないとか、日によって本当に気分屋で」と笑いながら頷く。松堂さんは「1から自分で作りプログラムも組むので、走行したときの嬉しさや達成感が半端ない。手を加えただけ良くなっていくので、そういうところが電子工作の楽しさであり魅力です」と語る。今大会は初出場ということもあり「予想通りの順位だったが課題は見えたので、来年は九州大会で優勝して全国大会にも出場したい」と松堂さん。一方、上原さんと佐次田さんは今大会では完走を目標としていたため、来年は沖縄大会での優勝を目標に掲げた。時間のない中での挑戦だったが、今大会で手応えを得た3人は、来年の大会に向け新たな気持ちで再スタートを切った。
松堂さん製作のマイコンカー。前輪を小さくすることで理想の走行ラインを描けるよう工夫した。
相談し合い、協力して作業を進める上原さん(左)と佐次田さん(右)。
沖縄の高校力 2023 美来工科高等学校(電子工作部)
写真左)松堂 宏翔
Hiroto Matsudo
沖縄県立美来工科高等学校3年、電子工作部。
中央)佐次田 空大
Kudai Sashida
沖縄県立美来工科高等学校2年、電子工作部。
右)上原 紳太郎
Shintaro Uehara
沖縄県立美来工科高等学校3年、電子工作部。
【実績】
松堂さんはジャパンマイコンカーラリー2023沖縄大会Basic Classで5位入賞。上原さん・佐次田さんペアも同大会Camera Classで準優勝を収め、それぞれの部門で共に九州大会に出場した。
※学年や実績など、内容は全て取材当時のものです。