沖縄の高校力 Dream INTERVIEW
八重山高等学校(郷土芸能部)
左下:荻堂 夢璃菜 副部長・踊り手 3年 中央下:島仲 美來 部長・踊り手 3年 右下:日當 榮輔 副部長・地謡 三線 3年 【実績】 ●2024年8月5日、第48回全国高等学校総合文化祭「清流の国ぎふ総文」郷土芸能部門、優秀賞、文化庁長官賞受賞。同8月25日、第35回全国高等学校総合文化祭東京公演で、新国立劇場の舞台で受賞演目「あんぱるぬみだがーま」を披露する。
声を出し合って踊っているだけですごく楽しい
石垣島にある八重山高校。八重山の島々に古くから伝わる八重山民謡を唄い踊る、郷土芸能部。三線や太鼓を演奏する地謡、そして踊り手の総勢26人が、いつも笑顔いっぱいに踊り、地域の伝統芸能を継承している。創部62年の歴史ある部を引っ張るのは、3年生で部長の島仲美來さんと副部長の荻堂夢璃菜さん、日當榮輔さん。島仲さんは生まれ島である黒島の行事で小さな頃から踊ってきた。荻堂さんは、八重山舞踊研究所を開いている祖母を間近で見てきて、舞踊は親しみのあるものだった。日當さんは三線をやりたいと、中学時代から郷土芸能部で地謡を担当してきた。毎日の放課後、「正月ユンタ」「ゆんたしょうら」などの声出しから始まり、ステージを控えた演目を2時間ほどみっちり練習をする。毎日同じ練習を続けても、とにかく「みんなで声を出し合って踊るのが楽しい」という。
21年ぶりの優秀賞受賞
昨年8月に岐阜で行われた、第48回全国高等学校総合文化祭では「あんぱるぬみだがーま」(アンパルの目高ガニ)を踊り、郷土芸能部門で全国2位となる優秀賞を受賞した。そして、その受賞校の東京公演にも出場し、新国立劇場でも堂々と演舞を披露した。「あんぱるぬみだがーま」は、石垣島の名蔵湾に広がる干潟、名蔵アンパルを舞台とした13分もある演目。アンパルに棲むカニたちが集まり宴会を繰り広げる様子が描かれていて、それを唄や踊り、しぐさ、かけ声、表情など全身で表現する。
八重高が優秀賞を受賞したのは21年ぶり。ひとつの演目の練習を数ヶ月間重ね、自分たちを信じてやり切った成果に喜びもひとしおだった。「全国各地のたくさんの人が、すごくいい舞台だったと声をかけてくれ嬉しかった」と振り返る。
来年の大会で、最優秀賞の栄冠は次年度の大会で後輩たちに託す
舞台上でいちばん心がけているいることを聞くと、島仲さんは「心からの笑顔」、荻堂さんは「まず自分が楽しむこと」、日當さんは「感情を込めて唄うこと」と教えてくれた。島内の伝教行事やイベントなど、演舞を披露する機会の多い郷土芸能部。取材時は、昨年末に石垣島であった公演を目前に練習に余念がない様子。この舞台を最後に引退する3年生の3人は、「来年の全国大会ではかならず最優秀賞を手にしてほしい。本気で練習を続ければとれる」と後輩たちにエールを送る。郷土芸能部室からは今日も朗らかな唄声が聞こえてくる。
イベントに出演した際に使用した化粧道具の片付けをする部員たち。道具の管理メンテも大切な仕事だ。
毎日の部活は、全員で輪になって声出しからスタート。元気な声が外まで響き渡る。
沖縄の高校力 2025 八重山高校 郷土芸能部
※学年や実績など、内容は全て取材当時のものです。