【社会見学】沖縄の元気な企業|歯科技工士
こんな会社で働いてみたい!理想の仕事場へおじゃまします
「手に職をつけて、困っている人を助けたい」と伊禮さんが選んだ職業は歯科技工士。まだまだ認知度が低く、人手が不足しているのが現状だ。その主な仕事内容は、歯を失った人の口の中の状況に合わせた歯を作ること。咬み合わせや見た目に違和感が無いように仕上げる作業は、繊細な手作業が多く、まさに職人気質の世界だ。「できなかったことができるようになる喜びを実感できるので楽しいです」と厳しい世界でも楽しんでいる様子。気になる患者さんがいると、歯をセットする治療日に同行し、確認することもある。歯がぴたりとはまった時や、歯科医師や患者さんからの喜びの声が何よりも嬉しいこと。「歯を失った方には噛んで味わう食事の楽しさを取り戻し、歯並びにコンプレックスを持ち、笑顔を見せることが苦手な方には最高の笑顔を取り戻して欲しい。歯科技工士は多くの人が抱えている口の中の悩みを解消していく、とても魅力ある仕事です」と教えてくれた。伊禮さんにはこの職業を目指すきっかけとなった出来事がある。幼いころ、自転車で転んで前歯を一本失い、その辛さと治療を経験。そして完治したときの喜びがきっかけだった。最後に「高校生の皆さんも些細なきっかけを大事にしてみてください。意外な進路が見つかるかもしれませんよ。」とアドバイスをもらった。
ひとつの歯が出来上がるまで
❶CAD作業( デザイン)
ここ数年で成熟してきたCADCAMシステムを使い、パソコン上で歯のデザインを作成。患者さんの歯の形をしっかり意識してデザインすることが重要。
❷CAM作業(削りだし)
出来上がったデザインデータを元に実際に材質(ジルコニア)を歯の形に削り出す。後にシンタリング(焼き作業)の行程で焼き締まることが自動計算されいるため、この段階では1.25倍の大きさに削り出される。
❸シンタリング(焼き作業)
最大1,500度の高温で約9時間ほど焼き締めて硬度をあげる。かなり時間がかかるため、夜間にタイマーをセットして翌朝出社して焼き上がりを確認することが多い。
❹咬合調整、研磨
シンタリング(焼き作業)後、実際の歯型にセットして微調整を行う。咬合紙を挟んで嚙合わせ着色する。その部分を少しずつ削り、咬み合わせた時、違和感が少なくなるように調整していく。ここで削り過ぎたり、歯を割ってしまえば今までの作業が水の泡。ゆっくり丁寧に作業を行う。
❺仕上げ作業
周辺の歯としっかり馴染むように滑らかになるよう研磨を施し、歯科医師から指定された色に着色し艶を出す。特に人が笑って見える歯の着色には慎重になってしまう。作り物の歯だとは思えないほど綺麗に馴染ませる最後の行程だ。
業務スケジュール
Profile
伊禮 洋輝 Hiroki Irei
1984年生まれ。コザ高等学校出身。
沖縄県内には歯科技工士免許を取得できる学校がない。県外の学校へ進学を決め、初めての県外生活と専門分野の授業への不安もあったが、たくさんの友人に恵まれて歯科技工士免許を取得。10年間は愛知県で徹底的に基礎技術を磨きキャリアを積んだ。その後、沖縄に戻り、CADCAMシステムというパソコンを使用したシステムに本格的に取り組むなど、努力を惜しまず、自身の技術向上と業界の発展に意欲を燃やしている。
★企業DATA
有限会社 ANSWER
平成3年創業以来、主に歯科補綴の分野での保険、自費の技工を行っております。日々の技術の進歩をしっかりと捉え、変化に対応できる会社作りを目指すとともに、社名にもあるように、すべてのお客様のご要望やお悩みに答え(アンサー)を出していきたいという経営理念の元、今後も皆様に満足のいく仕事を提供してまいります。
●沖縄県浦添市伊祖4丁目11-11
☎098-879-6421
E-mail.answer@tiara.ocn.ne.jp
取締役:諸喜田清昭